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性と生、憎しみと愛…少女の魂の叫びが胸に突き刺さる、拒絶と賞賛、世界が衝撃の問題作

性犯罪により生まれた少女と、その家族の絶望と再生を描いた秀作が誕生した。第40回ロッテルダム国際映画祭、第19回レインダンス映画祭招待作品として出品。「恐ろしいほどダークな作風の傑作。驚くほど破壊的で残酷なストーリーだが、同時に見事なまでに完成されていて、不穏に心を掻き乱す、観る価値のある問題作である」(Screen International) と海外メディアの高い評価を受けた問題作だ。
レイプによる望まれない妊娠で誕生した娘、その母や祖父との地を這うような生活。また、母を犯した憎むべき犯人が父でもあるという現実。様々な葛藤を抱えた少女が、必死で生き抜こうともがきながら、大人への階段を上がっていく姿が詩的な映像美で描かれている。そのひたむきな少女の姿に、魂を揺さぶられる。

“ネムリユスリカ”は、アフリカの砂漠に生息する昆虫。乾季になると生物は死滅するが、その幼虫は干からびた大地で生き延び、雨季に蘇生する驚異の生命力を持つ。いかなる絶望にも生き延びよ・・・とのメッセージがタイトルには込められている。 見知らぬ男にレイプされた母から生まれた少女の家族への複雑な想い、娘を愛しながらもレイプ犯に怯える母親の想い、そして忌まわしき運命に翻弄される娘や孫を見守る祖父の想い。それぞれの想いが交錯しながら、かけがえのない絆となって家族を結びつけている。
性、暴力、死、狂気、復讐、地を這うような生活のなかにあっても、愛情と絆を失わない家族。それらが醸し出す不思議な均衡と明るさが、どん底を生き抜く家族の絶望と希望をよりリアルなものに昇華させ、見るものの胸を打つ。

ドキュメンタリーを撮り続けた監督の作家性が光る、完全なリアリズムと映像美

監督・脚本には、テレビドキュメンタリー作品を多く撮り続け、常に人間と対峙してきた異才・坂口香津美。本作では、自ら撮影も担当。ひきこもりの青年の自立と内面世界を描いた『青の塔』(2000年)、加害少年の罪のゆくえを見つめた『カタルシス』(2002年)に続く、第三作目となる。

主演の少女は、本作が映画デビューとなる新人の平野茉莉子。レイプされる母親の少女時代、その母親から生まれた娘の一人二役という難役を、美しい裸体をもさらした圧倒的な演技力は、無垢で透明感が漂う。

また、全編に流れるピアノは、15歳の小林愛実。小澤征爾や佐渡裕といった世界的な音楽家たちが絶賛する、今最も注目のピアニスト。その音色は、過酷な宿命を背負った主人公に寄り添う、まるで優しいレクイエムのようだ。女優としても、レイプ犯の娘役(主人公とは腹違いの妹役)を繊細かつ堂々と演じている。